The 4100D マウンテントレイル in 野沢温泉2022完走!
2022年7月17日(日)に長野県の野沢温泉村で開催された「The 4100D マウンテントレイル in 野沢温泉」に初参加し、完走してきました。
The 4100D 野沢温泉村 きっちり完走決めた!💪
— nuichi⛰🏃🏻♂️ (@nuichi) 2022年7月17日
脚が売り切れたラスト3km以外はしっかり攻め続けて走った🏃🏻♂️…わりには結構な時間掛かってしまった🤣
今もう椅子から立てないし、歩けないから、どうやって宿へ帰ろうか思案中🤔 pic.twitter.com/q99PU3ZWt0
トレイルレース参戦はコロナ禍突入以来の 2.5 年ぶり。ずいぶん経ちました。その間、先天性の心臓病も発覚したりして、もう山は走らない方が良いかもなとも思ったのですが、もともと人生に悔いを残して死にたくはない死生観です。むしろ体調変化に注意深くなったことをポジティブに捉え、これまで通り、目標を追うことにしました。ということで、待ちに待った久しぶりのトレイルレースです。
これまで 60〜80km 級、更には 100km 超や 140km などのロングディスタンスレースも完走してきていた自分なら、65km のレースはおそらく大きな懸念はなくクリアできるはず...と正直タカをくくってしまっていたところがあったのですが、甘かったです。道中、打ちのめされまくりました(笑)。
一方で野沢温泉村という街ぐるみでのトレイルランの応援・声援には、驚き、感激しました。肩身の狭い思いでロードやトレイルの隅っこを走るんじゃなくて、晴れ晴れとした気持ちで道の真ん中を走らせてもらいました。このレースの主催者さんは地元との関係値をしっかりと築いています。
2023 年以降の大会に参加される方は、野沢温泉村の老若男女からの喝采を浴びて走る楽しさに思いをはせつつ、一方であっさり DNF にならないよう、この記事も参考にしつつしっかり備えていただければと思います。
前日受付
このレース、当日受付があるのはありがたいのですが、夜中の車での長時間移動は辛いので前日入りしました。事前に見ていた Google Maps では 4 時間弱の到着と見込んでいたのですが、いざ当日出発していみると 6 時間掛かる予想になっていて焦りました。雨と三連休初日ということが重なっていたからか、なかなか車が前に進まず、これじゃ受付終わっちゃう(※17時まで)。経路を工夫してぎり受付時間に間に合いましたが、もっと余裕を見て出発すべきでした。
私は宿を抑えるのがすごく苦手で、レース一週間前という開催間際にようやっと重い腰を上げて宿を抑えましたが、これをやると泊まるところは全く見つからないので(笑)、レース参加を決めたら速やかに宿を予約しましょう。
行ってきて街の構造を把握した身からすると、宿の決め方には次の二つの方向性があると思います。
- A スタート・ゴール会場のオリンピックスポーツパークの近さを優先する
- B 温泉街を楽しむことを優先する
この A/B ですが、両立は難しいところです。以下、メリット・デメリットを挙げておきます。
A の場合
- メイン会場・前日受付会場へ徒歩アクセス可能
- 温泉街は遠く、前日やレース翌日に気軽に遊びに行きづらい。必然、食事屋も少ないし買い出しも車移動となる
- 野沢温泉村名物の外湯に行ける数も限られる
- 車の出し入れはしやすい
B の場合
- 温泉街を堪能できる
- 駐車できる宿は限られる。駐車場が宿から離れていることも
- メイン会場へは車で向かう。ただし大会指定の第三駐車場はメイン会場からもそこそこ遠い
- 前日受付会場は、施設利用者以外は車乗り入れ禁止。頑張って歩く必要あり
私は A を選びましたが、ご自身の趣向で選びましょう。
私が泊まった宿は素泊まり的な宿で、食事もなかったので、前日の夕食は駐車場のある洋食屋さんに駆け込んでしっかり食べました。明日レースだと思うだけでなぜかやたら腹が減るんですよね。脳ってすごい。
街中にデイリーヤマザキがあるようなので車で行ってみましたが、大失敗でした...。到底車は停められず、街の細い坂と沢山の歩行者の間を車で走るのはひやひやでした。 食料品は野沢温泉村に到着する前に調達しましょう。途中の飯山エリアにはセブンイレブンとローソンもあります。
泊まった宿にシャワー室はあったのですが、お化けが出そうな薄暗い雰囲気で気が乗らず。とはいえ外湯ではリラックスできなさそうな印象もあったので、結局、前日受付会場のスパリーナの内湯に入りました。浴槽がひとつと小さなサウナ室がひとつあるだけで、都会のスーパー温泉に行き慣れている自分からすると物足りなさはいなめませんでしたが、贅沢は言えないですね。体と心を休めることはできました。
レース当日〜スタート前
AM5:00 に起床し、ゆっくり支度して AM5:45 頃に宿を出発。ベースキャンプ用の荷物が多く重かったので、負担にならないようゆっくりと歩きつつ AM6:00 には会場入りしました。
この時間ならトイレもほとんど人が並んでおらず、速やかにトイレチェックイン。仮設トイレは 6 つありました。スタート直前に「トイレかなり行列」という声が聞こえてきたので、トイレは早めにすませておきましょう。
前日会場同様、この当日会場でも物販が充実しています。補給食を準備できなかった人もギアを忘れた人も、大抵なんでも会場で調達できます。
共用テントサイトには想像以上の沢山のテントが張られていて、そんなに過密でもなさそうです。ただ雨が降ると、結構悲しいことになると思います。自分の荷物を入れる大きなビニール袋などは用意した方がよいでしょう。
自分はベースキャンプを張ります。先日たまたまゲットしていた家族用のサンシェードの出番です。組み立て式のアウトドア椅子、クーラーバッグとシンプルなベースキャンプですが、必要十分かなと。サンシェードが風で飛んでいかないように、ペグで固定します。
なおテントサイトは十分な広さです。私は少し離れたところにテントを張りましたが、やはり会場中心部に近いエリアの方が、各セクションから戻ってきた時に負担が減るのでお勧めです。
以前から Twitter で交流させてもらっているヒロキ (@ngsk69) / Twitterさんが近くにいると気づき、声を掛けあって合流!想像していたとおり、エナジーみなぎるナイスガイでした。
今日めちゃくちゃ晴れてますねと言ったら、ヒロキさんは令和の晴れ男を自負しているそうです。この男はこの日この後、数日前からの雷雨予報も退けるほどのパワーを発揮しましたw
ヒロキさんの左腕には最近ゲットされた COROS Vertix 2 が。まぶしい!実は自分も買うか悩んだのですが、愛用中の COROS PACE 2 のままで来ました。まぁこれはこれで、特に不自由はなかったです。
ヒロキさんは 10 時間切り目指して第二ウェーブに並ぶとのこと。 自分は天候を鑑みて(※この時点では荒天を想定してですが) 12 時間切りを目標にしていたので、お互い健闘を祈って一度お別れします。
気づくと、もう結構沢山の人がスタートエリアに並んでいたため、焦って自分も並び始めますが、ここで二つミスります。
- 忘れ物をしていました。。後で街を走った後、ひとり会場へ立ち寄るハメになり4分ロス。スタートに並ぶ前には指さし荷物確認必須!
- 適当にウェーブに並んでしまい、この辺が第三ウェーブ(12時間ゴール予定組)かと思っていたら、第四ウェーブ(14時間ゴール予定組)でした。。周りに聞いたり場所を確認しながら、しっかりとお目当てのウェーブに入り込むべきでした
激しい太鼓生演奏がはじまり、歓声と拍手に包まれて AM7:00、大会スタート!第一ウェーブ集団が力強く飛び出してゆきました。 そこから6分後、第四ウェーブもスタートしました。この程度のロスタイムなら、制限時間や関門時間については影響はないなと推察しながら駆け出します。
第一セクション - 23km、毛無山
さてまずは、オリンピックスポーツパークを出て温泉街へと向かいます。すでにやや暑い。ロードを登り続ける中、ここで急いでもなんの意味もないと分かってはいつつも、雨のトレイルパートでの渋滞は避けたいなという思いと、予定の第三ウェーブでスタートできなかった点から、少しスピードを上げながら沢山のランナーを巻いてゆきます。
温泉街エリアに到達するとすぐに、事前に写真では見ていた麻釜のそばを駆け抜けてゆきます。そのあたりからは、街ぐるみの大声援です。まだ朝早い時間なのに、大勢の街の人達や、ミドルやショートに出るランナー達がエールで送ってくれて感激しました。この街ではトレイルランナーは嫌われていない!自分はできる限りエールに反応して、手を振り返したり、行ってきまーす!と元気に応答しながら走ります。
このあたりで、うわー、手袋忘れた。。と気づき、ちょっと悩みつつも、オリンピックスポーツパーク付近をもう一度通るはずだからピックアップしようと決めます。
と思っていた矢先に、汗だくのヒロキさんが「やっと追いついた!」と出現。え!もっと前走ってましたよね?!と聞いたところ、第二ウェーブは開始早々集団ロストしたそうです...それ辛い!😭しかしさすがヒロキさん、なんら凹まず、どんどん先に進んでいって、すぐに見えなくなりました。
自分はひとり会場に立ち寄って忘れ物を回収し(ここでマットを踏むと優勝しかねないので、歩く場所を慎重に選びつつ)、なんのために最初の坂を頑張ったんだと嘆きながら、ルートに戻って林道へ突入してゆきます。この林道は走ろうと思えば走れる林道で、誰もが各々のペースで進んでいました。
スタートから 10km ほどの地点で林道セクションも終わり、トレイルに入ってゆきますが、ここまででランナー達、自然に走力別に並び直しているので、トレイルでも前が遅いとか後ろからプッシュされるということがなく、自分のペースで前進できました。
しかし気温が高い!どんどん暑くなってゆきます。このあたりは豊富な水源があり、ろ過器も不要なんじゃないかというきれいな沢水が。水を減らしてしまった人は、このあたりで水を汲むことができるでしょう。
第一セクションの最初の踏破地点は毛無山です。この名前はなんだか男性にとっては不吉な名前の山だな、どこの誰がこんな名を...と訝しみながら進みます。
途中、ロープ登りがありますが、みなさんまだまだですね。自分は得意です😎
ロープは、身体を預けてしまった方がよいです。消防士になった気持ちで、垂直な壁を登る訓練だと思って構えた方がよいでしょう。足は山肌側に踏ん張り、腕と脚を交互に出しながら、しっかり手足で身体を持ち上げてゆくと、するする登れます。
スタートから 2.5 時間経過後、距離は 14km 程の地点に毛無山山頂がありました。山頂は拍子抜けするぐらい何もなかったですw
大抵のトレイルレースでは登りきってから頂上でひと休みしている人は多い印象ですが、誰ひとり休まず進んでゆきます。みんな攻めるなー。
そこから 10 分ほどで最初のエイドへ。すでに日差しはきつく、1L の水分はカラに近い状態になっていたので安堵しました。
エイドは、運営の事前案内では「たいしたものないから各自しっかり持って来なせい」というニュアンスだったと記憶していたのですが、実際のところはエイドでの食べ物は充実していました。ドリンクは水だけでしたが、冷たいし、水切れの心配も皆無でした。
手早く水を 1L フルチャージして、トマト、オレンジ、塩漬けきゅうりなど頂きつつ、ささっと先へ進みます。
ここまでは、鎖場やロープ登りに備えてポールを畳んでいたのですが、下りで活躍しそうなので出しました。出してすぐにショックを受けました… めちゃくちゃ楽!これ最初の林道突入直後にすぐポールを組み立てるべきだったな、と後悔。
自分のポールワークはというと、さすがにいくつもの大会で駆使してきたこともあり、登りでも下りでもそこそこ活用できているんじゃないかなと思います。下りは、スキーをやっている感覚です。攻めて走り下る時に、脚の筋疲労を軽減しながら加速できます。さながら4本足の獣になったようなイメージです。アイアムカモシカ!
あとは会場まで、浮き石ゾーンや風ごうろゾーンを下るだけなのかと思っていたら、いやらしい登りがまた待っています。
ただ、登りもポールで負担軽減しながら前進します。登り終えた後は、スキー場のゲレンデくだり。脚が一番壊れるやつですw
景色は最高!気をつけないと太ももの筋肉に大ダメージを背負うので、なるべくポールでスピードを殺しながら下ります。
スタートから 4時間 ほどでメイン会場帰還!余裕度ありで前進していた割にはおよそ目標時間どおり。休憩は 15 分だけと決めていたので、手早くベースキャンプで休憩、補給、着替えを済ませます。
昨日買ったコンビニのおにぎりよりも、どう見てもエイドのおばちゃんが鬼気迫る顔で握りまくっている高菜のおにぎりの方が美味しそうなので、ひとつ頂きました。予想通り、お金払いたい美味しさ!😋
令和の晴れ男のせいで(笑)暑さは更に増すばかり。Tシャツをノースリーブに着替えます。汗で濡れたウェアを着替えると多少さっぱりします。
第二セクションは 13km と短いため、使っていなかった補給食を入れ替えずにそのまま残し、水分だけはスポドリ 500ml と水 500ml 満タンにしてスタートしました。
第二セクション - 13km、小菅神社
しかし思えばこの時に、しっかりとエイドで水をたっぷり飲んでおくべきでした。第二セクションはじまって早々、暑いぞ、のどが渇くなと感じて、詰めたばかりの水分を結構飲んでしまったので。それに気づいたのは、第二セクションの北竜湖到着の直前でした。
もう結構水飲んじゃってるけど、まだ半分も来てないぞ。ここは第一セクションみたいに水場あるのかな。なかったらやばいかも。いらんと思って、ろ過器をザックから出したのまずったな。時間は昼 12 時、この後もっと暑くなりそう。など、焦りが高まります。
北竜湖の目前、たしか誰かの Blog に自販機あるって書いてた気がするなと思い、みんなが向かう左手とは逆方向、大学生達がきゃっきゃわいわいしている右手の方へ目をやると、ありました、ロッジの側に赤い Coke の自販機が!迷わず向かったところ自販機は... なんでも選び放題やないかい!😍
冷えたミニッツメイドを一気飲み。そこで満足して出発してしまうのですが、いま思えばなぜあの時、アクエリも買って水筒満タンにしておこうと考えなかったのか。。油断・慢心がありました。
うだるような暑さの北竜湖脇の林道を走ったり歩いたりしていると、37km 組の先頭集団が登場し、颯爽と駆け抜けてゆきます。皆さん走れ過ぎてて怖いぐらい!どうなってんの?!自分は温存・マイペースで進みますが、ミニッツメイドでの回復はいずこへ。またしんどさが戻ってきます。
- そういえば毛無山の後で、心臓痛かった。おれ今日走って大丈夫なんかな。死んだら大会に迷惑掛けちゃう
- どうも横隔膜の差し込みがひどい。珍しいぐらい。少しスピード上げるだけで痛むな
- 右足の股関節だめだな。治りきってない。痛みで脚が上がらなくなってきた
- 筋疲労で両足ともパンパンじゃん。これ最後まで持つのかな
- なぜこんな暑さに。湿度も高すぎる。これじゃ 2019 年の美ヶ原の再来だよ、あれはきつかった。おれは雨のレースに備えてきたのに、想定外だ
- ろ過器を置いてきたのはミスだった。あれがあれば汚れた水だって飲めたのに
...など、弱気が一斉に吹き出てきてしまいます。この悪魔は大抵のレースで襲いかかってくるんですが、あまり長時間、悪魔のささやきに晒されていると、多分心が折れてリタイアでしょう。
しかししばらくの後、弱気になっている自分を攻めるもう一人の自分が出てきます。
- 何を弱気になってるんだ。ダサすぎる。かっこ悪すぎる
- 弱気は大抵、頭に糖分足りてないだけだろう。ザックに詰め込んだジェルもバーも、全部食べきってみればいい
- 心臓と横隔膜の差し込みは、水分とミネラル足りてないからだろう。水は温存しつつ、このあと出てくるのを祈って。ミネラルはジェルと塩熱タブレットで補給だ
- 股関節は伸ばしちゃダメな痛みだ。なら逆に屈曲させて、伸びた間接を縮めるんだ
- まだ序盤戦だ、こんなの過去に経験してきた絶望の縁ほどじゃないぜ
そうだそうだ、全部対処できそうだという気になってきます。急いで食料を口に放り込み、股関節は何度か強めに屈曲したら、痛みが緩和しました。少し気力が戻ってきます。
そうこうするうちに終わりの見えない永遠の石段が登場。ポールに頼って、ゾンビウォークしながら一歩ずつ登ります。すぐ前では、高齢者のハイカーさんが周りのトレイルランナーを励ましています。トレイルランナーより元気な高齢者、すごい!
しかし永遠の石段を終えたその後も、容赦のない斜度の登りが続きます。標高図を取り出してみると、小菅神社は標高 1000m あたりのようです。このあたりで高度を見たときはまだまだだったので、COROS 壊れてるンじゃないの?とビビりましたが、とにかく高度も頼りに小菅神社を目指します。
ラスボスみたいな鎖場を超えて...
もう少し歩き続けて、小菅神社獲ったどー!なお、バラック小屋みたいなのがあるだけでした。
【追記】2022.8.7 この三週間後に Nozawa Trail Fes を走って気づいたのですが、左手の進行方向に進まず、右手の灯籠へ進むと、階段上に寂しげな小菅神社があります。なんとこの裏手に、最高に冷たい水場が!信心深い人だけが得られるボーナスエリアって感じが✨
少し進むと、がっかりするなかれ。なんとまだまだ登ります😵高度1000mあたりでクリア、女神の森に到達です。
平坦なブナのフカフカトレイルを走ります。
水はほぼ使い切っていたので、ちょっとプレッシャーが掛かりますが、泣き言言っても始まらないので下り始めます。 さてこの下り、もう疲労とプレッシャーで記憶がありませんw レース前に参考にしたブログの皆さんの記事を読んだところ、崩れた階段とか、林道とか、ロードだったようですが、どのブログにもたいした情報がなかったので、みんな同じように記憶を飛ばしたんでしょう。
【追記】2022.8.7 注意、激下りです!
水がほぼ尽きた状態で下りきった時に、分岐に経っていたボランティアの方に「会場までの間に水場はあります?」と鼻息荒く聞きましたが、多分ない、というきっぱりした答えが。聞かなきゃよかったw
しかし実際は、しばらく進むと小さな用水路が出てきたので、迷わず水を汲み上げました。見る限り透明度は高くきれいだったので、少し口に含むと、美味しいし冷たいし、一気に生き返ります。周りのランナーも釣られて続々集まってきて、水を飲んだりかぶったり。更に進むとゴルフ場があり、ここにも赤い Coke の自販機!立ち寄る人もいます。この大会、レース中にコンビニなどはないので、自販機での補給は命綱です。
小菅神社から下り1時間ほどで、メイン会場に戻りました。時間は 14:15 頃、7 時間以上が経過しましたが、さぁここから最長の第三セクションへ突入です!
第三セクション - 26km
弱気はもう消え失せて、ここまできたら地べたをはってでも第三セクションやりきるぜ!という気持ちです。第二セクションでの弱気の反省から、とにかくしっかり食べて、飲んで、ろ過器も持って再スタートします。
第三セクションはまずスキー場脇の林道を登ります。スキー場の直登じゃないところに主催者の優しさを感じます。スキー場の直登、何度もやらされてきたからね。スタートから 5 分と経たずに水場も出現。
30 分程のアップダウン後、日影スキー場に到着。ここでは自販機やスキー場のレストランなど、補給し放題です。美味しそうなイチゴのかき氷食べたかった!スキー場でアクティビティに興じている皆さんは、続々とやってくる疲労困ぱいで死に体のトレイルランナー達を奇異の目で見つめていました。
スキー場下のロードを抜けて林道へ突入後、林道やスキー場用の作業路を登り続けます。ほとんどの人はもう走っていないのですが、自分は走れるところは走ります。歩くときも攻めて歩きます。ここで温存してしまって、ゴール後に出し切らなかったことを悔やみたくなかったので。
休憩する場所もなく、とにかく登って登って登りまくります。斜度はきつくないのですが、もう脚も体力も限界が来ているので、走っているとはおせじにも言えない低スピードです。
日影スキー場から 1.5 時間ほど経過して、巣鷹湖にたどり着いたのは 16:40 頃。いまさら雨雲がやってきました。おせーよ!w
巣鷹湖にも自販機が。迷わず一本ゲット。
距離的にもう第四関門は近いはずで、そこで水分補給はできるから、欲張らなくていいかな?と判断したのですが、実際は巣鷹湖から第四関門までは結構距離があり、林道やブナ林のトレイルを 45 分ほど更に登り続け、ようやっと最終第四関門に到着しました。時間は 17:30。
雨足が弱まる気配も感じていたので、レインはすぐに脱げるようにしつつ、ナイトトレイルに備えてライトを装着。エイドで少量の補給食を頂いた後に、地上を目指して下り始めます。
スキー場、シラカバのトレイルエリア、林道、舗装路などを下りますが、もう脚はいっぱいいっぱいで、踏み出すたびに痛みが。しばらく前から股関節は、もう屈曲させても痛みが取れない。関節が馬鹿になってます。
舗装路では、遅いながらも、抜かれまくりながらも、走ります。キロ 7 ぐらいしか出ない。しかし根性にすがって走り続けていたら少しずつ痛みが消えてゆき、走りが戻ってきました。脚が温まってきたのか、ゾーンに入ったのか。スピードはどんどん上がって 5'30"/km で安定して走れるように。抜かされた人達に追いつき、どんどん巻いてゆきます。
18:45、突如展望の良いところに出て、夜の帳が下り始める少し前の野沢温泉村エリアを一望できました。ありがとう、しんどかったよ野沢温泉村!
このまま舗装路でゴールインさせてくれて良かったのですが、登りも含む最後のトレイルパートが用意されていました。これには完全に残っていた力、全部持っていかれました😵 ただただ痛みに耐えて走り続けて、再び日影のスキー場に出たときには、もう精根尽き果てていました。
汗も出すぎて、横隔膜の差し込みの痛みとまた格闘していたところ、同じ宿に泊まっていた女性が自分を見つけて声を掛けてくれました。まだまだ元気そう、すごい!
自分はもう走れないから先行ってください〜と伝えて見送り、ひとりとぼとぼと歩きます。歩いていると沢山のランナーが、最後の力を振り絞って走っているだろうに「ファイト!」とか「ほらラスト!」とか声を掛けてくれて、なんて人達だと感激。歩いたりちょっと走ってみたりしながら、共にゴールを目指しました。
しばらく前に「60km」のカンバンを見て、今手元の時計の距離から計算すると、あと 1.5km でゴールなはず。もう終わりだと安心していたら、最後の分岐を保守しているスタッフの方が笑顔で「あと3kmちょいです!ガンバ!」と。これが結構、精神的に大ダメージでしたw 周囲のランナー達からも「嘘だろ」「聞きたくなかった」「これは詐欺だよ」と悪態が噴出していたので、限界を超えていたのは自分だけではなかったようです。
暗い時間にも関わらず、沿道の応援がありがたかったです。もうどれだけ声援もらっても走れる脚は残っておらず、代わりに力強く歩くのみでした。オリンピックスポーツパークに向けた最後の坂を再び登ります。
坂の途中では、すでにゴールしたランナー達がエールを送ってくれます。前後のランナーとは十分に距離があり、ひとりずつゴールの雰囲気。そして自分の番です。「お帰りなさい!!」のマイクアナウンスと拍手と喝采に包まれて、ゴールしました。
12 時間 52 分。疲労感半端無い。もう全部出し切って、何も残っていなかったです。
レース後
ベースキャンプへ戻るも、椅子に座ったあとにもう立てないし歩けないので途方に暮れますが、汗を洗い流したいし、何か食べたいし、ビール飲みたいので(笑)、頑張って撤収。移動を開始しますが、宿までの距離がやたら遠く感じます。自分がしてもらったように、ゴールへ向かうランナー達を拍手で励まし讚えて見送りながら、なんとか宿へ。
途中で居酒屋とんきちに立ち寄って、ラストオーダー時間を確認したところあと40分ぐらいはあったので、荷物を宿に置いて顔洗ったり最低限の着替えの後、居酒屋にin。日影のスキー場でも会った、同じ宿に宿泊していた女性が先客でいたので、声を掛けあって一緒に乾杯し、たらふく食べたりビールを飲みながら、レースを振り返り&讚え合い。話は尽きませんでした。
食事後は近くの外湯で汗を流して(24:00 まで開いているのはありがたい)、後は爆睡です。
振り返り
距離 65km と累積標高 4100m という数字とは裏腹にかなりキツく、万全の備えが必要なレースでした。ギアの準備、補給計画、各種トラブルへの備え。油断は禁物です。
2022 年大会の天候は、昼から雷雨の予想が外れ、結局終始かなりの暑さと湿度でしたが、こういったこともトレイルレースでは往々にしてあることなので、天気予報を鵜呑みにしてはいけないなと思いました。どうせ予想外の天候になるんだろ、ぐらいの心持ちの方が良いです。
三つのセクションを回り、本陣に戻れる機会を活かせるかは大事です。移動時の荷物を減らし、休憩時のリカバリー&リフレッシュを最大化できるかは、勝負の分かれ目になると感じました。
どのセクションも優しくはなかったですが、距離の短い第二セクションが山場でした。この記事を書いた後に、第二は水 1.5L あった方がいいというアドバイスをもらいましたが、完全に同意です。
そうだ、大事な点がひとつ。ポールが大活躍でした。ポールがなけりゃ、多分プラス 2 〜 3 時間掛けながら、関門戦士になっていた可能性が。半数程度の人はポールを持ち込んでいた印象ですが、ポーラーか否かで足取りがあきらかに違っていました。かなりの上級者・猛者以外は、ポールの持ち込みを強くお勧めします。ただ、ポールは使いこなせないと邪魔になるだけです。事前にポール練習をしておきましょう。
レース自体はというと、主催者の人柄が垣間見える雰囲気の良い、気持ちのいいレースでした。エイドもほぼ満点で、これ以上の贅沢は言わないです。水しかないので、スポドリ粉末の携行推奨です。
そして何より、野沢温泉村が気に入りました。自分は 8 月の Nozawa Trail Fes にエントリーしており、もう一度第三セクションの後半と第二セクションまるごとを走るので、今回の経験を活かして、友人と一緒に楽しんできたいと思います。
飯山のセブンイレブンで野沢温泉村のクラフトビール買えました。お土産に是非。
今回は日程とスケジュールの都合上、家族向けのお土産がなく、そして自分用のお土産しかなく、大変申し訳ない🙏😋 pic.twitter.com/rIZ1PUF0qV
— nuichi⛰🏃🏻♂️ (@nuichi) 2022年7月18日