Long may you run

- 末永く走り続けられますように -

UTMF 2019 試走 A7山中湖きらら to A9富士吉田

今回も先にまとめです。

■A7山中湖きらら to A8二十曲峠 まとめ

  • 軽視しないこと。杓子山・A9富士吉田までの中継点というほど優しくない
  • そこそこ走っても3時間掛かる。本番は夜パートであること且つ+127kmの疲労を考慮
  • 途中の追加補給は一切出来ない。十分な食料と水分を持って挑もう

■A8二十曲峠 to A9富士吉田 まとめ

  • ネガティブにならない!
    • なんて斜度の坂だ
      よっしゃロープで脚温存、助かる
    • こんな岩場続き、もう無理、嫌だ
      プチクライミングパート、楽しもう
    • このピークも違うのか、もううんざり
      何度でも来い、負けない!
  • あの鐘を鳴らすのは、あなた。

UTMF 最難関パート試走に向けて

前々回は天子山地、前回はA5勝山 to A7山中湖きららを試走したが、これらは試走の準備運動の位置づけで、本命がこのA7山中湖きららから先。127kmからUTMFは始まると聞いている。

A7からの試走でゴール地点まで行く人も多いが、自分は明日開催の奥三河パワートレイルへ駆けつける必要があるので、早朝から走ってA9で切り上げる計画。

...のはずが、朝から中央道事故渋滞。かなり日が昇った時間帯からのスタートとなる...

試走開始 - A7山中湖きらら to A8二十曲峠

富士山駅に車を止めさせてもらう。なお、富士山駅の駐車場はかなり広い。今回も駐車場はスカスカ。UTMF試走は毎度、駐車場で困らない。

三番乗り場からの緑のバス(F、ふじっ湖号)で山中湖 平野へ。なかなか遠く、1時間ぐらい掛けて到着。

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平野の観光案内所には綺麗すぎるトイレ。自販機併設。

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更に、すぐ近くにセブンイレブン。必要ならここで最終準備を。山中湖きららにも自販機はあるけど、食料は補充できないので。

5分ほどジョグって、山中湖きららに移動。今日も快晴!

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10:00、試走スタート!まずはパノラマ台を目指す。

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最初からフカフカなトレイル、嬉しい。

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10分程度でパノラマ台に到着。素晴らしい景色を拝めたが、ここは通過点。すすきが生い茂る、荒涼とした登山道を登っていく。

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真っ正面の登山道は、大きい階段で脚を使ってしまう。お好みで、向かって右側の段差のない細い登山道を使うとラク。すすきが痛いところは避けて。

10:35、標高1291メートルの明神山頂に到着、絶景!

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夜は素晴らしい夜景だろうな。

ここから、下りトレイルスタート!
平坦だったり、適度な登り下り。最高に楽しいトレイルが続く。

11:10、高指山獲ったど!

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山伏峠に向かってゆきます。

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起伏のあるトレイルを気持ちよく走って...

11:35、山伏峠に到着!

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ふむ。舗装路まで下るのかと思ったら、トレイル中なのか。引き続き起伏ありのトレイルを、ちょっとだけロストしつつも進むと...

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あ、あれ?また山伏峠という名の場所が。まぁ深くは気にしないでおこう。

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なかなか石割山が遠いが、登山道のド真ん中に鎮座する、Y字に折れた木を過ぎて少し行くと...

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12:40、石割山に到着!

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ここまで来たら二十曲峠は近い。
しかしここからちょっと迷った。GPSナビに従い、登山道っぽくない右側斜面を降りていったが、正解が分からないw

f:id:nuichi:20190408185640j:plain 石割山からの道なき道

下り続けて、鉄塔の横をくぐり、更に下り続けてまた少し登ってを繰り返し...

12:55、約3時間で二十曲峠に到着!

f:id:nuichi:20190408190107j:plain ...抜けた!

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明神山頂以降の数え切れないアップダウンと、食料と水が限られているぞというプレッシャーで、精神的にも肉体的にも結構な疲労度。

この13kmは、

  • 約3時間
  • 12'10"/km で進行。走れる下りと平坦な箇所は走ってます
  • 水 300cc 消費...あかん、結構摂ってたつもりが全然...

二十曲峠には公共トイレあり。ということは水も飲めたかもだが、確認忘れ。。

■UTMFエイド物語 A8二十曲峠

www.youtube.com

すでに共有されているエイドステーションの提供内容の通りで、ここにはさほどがっつりした食料は用意されていない点、要注意。

A8二十曲峠から杓子山、そしてA9富士吉田へ

昨年はレース中に、A7山中湖きららからA9富士吉田の間に熊出現 の緊急注意SMS報があったとのこと。確かに出そうな雰囲気。熊鈴鳴らしながら進むことにする。

ぐんぐん登らされる。

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いい感じのデザインの熊出没注意看板。

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13:35 立ノ塚峠!

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さーー、ここから杓子山アタック開始!

写真では斜度がうまく伝わらないけど、あきらかにこれまで以上。

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ロープを使わないとしんどい・危険な坂が出始める。ハンドライトの出番はなさそうだ。

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UTMFはストック使えないわけなので、腕で登れる坂はむしろ好都合と捉える。
道に落としてあるロープは特にありがたい。またいで、腕で身体を引き上げてゆく。力強く、スイスイ行ける!

岩場も出てくる。いい情景だ。

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切り立っているので、手の置き場・足の置き場は慎重に選ぶ。下りじゃなくて登りでよかった。
本格的なロッククライミングに比べれば、プチって感じなわけで。ひとつずつ、達成感を得ながらクリアしてゆく。

時々素晴らしいパノラマが開ける。吸い込まれそうだ。自分は高所恐怖症なので、眺めていると脚が震える。

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昼なこともあって、常にピークは視界内にある。登って、登って...

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着いた!ここが杓子山か?!

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いや、違う、何もない。しかし、しょげない。必ずこの先にある、辿り着けると自分に言い聞かせて、進む。

開けた岩場。よく見ると、遠くに山中湖と、すすきの間を歩いた明神山が見える。

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すごい、ほんの数時間前にはあんなに遠いところにいたんだなと、我ながら感心する。

ん!進行方向へ目を凝らすと鐘のある丘...あれだ、間違いない!アップダウンを何度か繰り返し...

14:40 杓子山、ついに獲ったどーー!!

youtu.be

本番では、この地点で144km。標高1598mは、レース中の最高到達標高でもある。

静かだ。風の音と、自分の息づかいしか聞こえない。

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この天空の鐘に会いたかったんだ、鳴らしてみたかったんだ。
もちろん、鳴らしてみた。音、でかw

レース当日、まだここを目指して一歩ずつ進んでいるランナーにとって、この鐘の音は希望になるだろう。当日は必ずもう一度ここに立って、鐘を鳴らし、後続のランナーを鼓舞したい。

下りの分岐は間違えないように。看板のある方じゃなくて、右側へ。

後は下り基調なのだが、時々また登らされる。とはいえ、ここまでにやっつけてきた激登りほどではない。

なかなか杓子山から抜けなくてもどかしいが、40分ほど走ってようやく砂利の下りに変化。

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不動湯を横目に見て、当日はひとっぷろ浴びたろか!と独りごちながらどんどん降りてゆく。

ようやっと里に。ほっ。しばらく走ると、自販機がちらほら出現。ほっ。

16:10 A9富士吉田へ。ここに辿り着いた時は、感無量だろうなぁ。この先の霜山1302mも、恐ろしいけど。

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■UTMFエイド物語 A9富士吉田

www.youtube.com ワインレッドの帽子のおばちゃん達に、必ず会いたい

この13kmは、

  • 約3時間
  • 12'35"/km で進行
  • 水 400cc 消費。当然もっと摂った方がいい。ただ、当日は夜なので水の消費量は少なそう。食料は再考。

A7-A9は、長かった。水や食料が限られているというプレッシャーが、疲労感を倍増させていた気がする。 ドロップバッグに、このパート用の食料を忍ばせておこうと思う。

杓子山までは、いわゆる「折られる」場面が多いのは否定できない。そのストレスが疲労感を倍増させる。

しかし、ネガティブに感じること自体が御法度。冒頭のまとめにも書いたが、辛さを楽しみに置き換えて進もう。

なお実行委員の三浦努さんのコースガイダンス会では、次の言葉が。

  • A9までたどりつければ完走はほぼ確定!

当日はこの言葉も口ずさみながら、進もうと思う。

後日譚

試走の翌々日、この記事を書きながらふと気づくと「あの鐘を鳴らすのはあなた」を口ずさんでいた。

この曲は昔から好きな曲の一つ。久しぶりに聞いてみると、なんと。この歌詞は杓子山を目指すシチュエーションにピッタリ!

あなたに逢えてよかった

あなたには希望の匂いがする

つまづいて 傷ついて 泣き叫んでも

さわやかな 希望の匂いがする

町は今 眠りの中

あの鐘を鳴らすのは あなた

人はみな 悩みの中

あの鐘を鳴らすのは あなた

作詞は大御所、阿久悠和田アキ子はもちろんのこと、カバーした徳永英明サンボマスターつるの剛士のバージョンも素晴らしい。

自分にとってのUTMF応援歌が決まりました。杓子山を攻めている時に歌い続けたいと思う。

UTMF 2019 試走 A5勝山 to A7山中湖きらら

今回も先にまとめです。

■A5勝山-A6忍野 まとめ

  • ロード80%、ミニトレイル5%、山トレイル15%
  • 住宅地や市街地多し。道の駅もあり、補給不安なし
  • 忍草山アタックルートは未整備で荒れている。迷わないようGPSなどで確認しながら進もう

■A6忍野-A7山中湖きらら まとめ

  • 少しロードを走った後、山トレイルへ。突入前に自販機三つ
  • 山トレイルは、大平山・平尾山それぞれ歯ごたえあり
  • 山頂からの最高の景色を楽しもう

中盤パート試走に向けて

前回天子山地を試走できたので、残りは杓子山をやっつけておきたいところ。
しかしUTMF実行委員の三浦さんの話で、A6-A7間についても興味が。

  • 「サービスセクションに見えて実は後半に辛い小山あり」
  • 「走れるところ、走れないところが交互に出てくる」

気になる。前大会出走者のブログによれば、A5-A6の後半にも、あなどれない「忍びの山」があるらしい。

A7以降を試走する場合は、最低でもA9富士吉田までは行かなければならないが、A7-A9はそれだけで結構タフだろう。

A6やA5からスタートしてA9だと、自分にはちっと強度が高い。すでに一ヶ月前。極度の疲労は背負えない。辛いイメージで終わりたくない(大事)。

なので今回は、A5 to A9を分割することに。行程は順序よく辿る方がいいイメージ持てそうと思い、まずはA5-A7試走を実施する。

試走開始 - A5勝山 to A6忍野

AM8:10 道の駅かつやまに駐車させて頂く。なお、スカスカであった。
ここも当日のコースなのでちょうど良かった。時間帯も当日とほぼ同じ。

道の駅だけあって、トイレあり、自販機も豊富。里だし、かなり安心感をもって試走開始。

最高の快晴!
10分ほど走ると、A5勝山エイドになるであろう場所を通過。A5は2018年大会から、地元有志の方によって立ち上げられたエイドらしい。有難い限り。
YouTubeのUTMFエイド物語も観た。辿り着くのが楽しみだ。

■UTMFエイド物語 A5勝山

www.youtube.com

田園地帯のロードを走り続ける。昨年の RUN+TRAIL vol.29 のUTMF特集を事前に読み込んでいたので、雑誌で見た写真と風景が一致する箇所がいくつもあり、迷わなかった。

また今回は、自分で準備した試走コースナビを事前にGarminに入れておいた。

Garminのナビ+スマホGoogle Mapsの試走マップで、ルートは全く不安なし。Garminオフコースになると通知してくれるのが助かる。

ロード中心に、トレイルがあれば短くても走らせてくれる!嬉しい配慮、感謝。
二箇所のミニトレイルを抜けると、707号線、富士山資料館のあたりに出た。

後で振り返ると、ここで左に行くべきなのに、自分は右に行ってしまい、4-5km ロスト。。

結構しんどい道だったので、戻らずにオンコースできる場所へ向かう...30分ほどでコースに戻れた。
まぁ、当日は100mごとにマーカーもあるし、ミスりようもないでしょう。

10:10、道の駅富士吉田へ。道の駅だけあって、何でも補給できますね。ありがたい。

ちょうどA5-A6の中間ぐらいなのと、ここから山に入ってゆくので、必要なら補給しっかりしよう。

なんなら、 mont-bell ありますから。装備が不安な人は色々買い込んじゃったりね。

mont-bell のお店。物欲ががが

道の駅富士吉田からロードを進み、塩釜神社の少し前から山へ。舗装の登り道、砂利の林道登り、その後はオイオイっていう感じの未整備トレイルもしっかり登らされる。

11:10、忍草山を獲ったどー!

ここからは走れるトレイルと下りが。看板にも誘い文句。とはいえ、飛ばし過ぎないないようには気をつけよう...

20分ほどでA6忍野エイドへ。

ここまでで、

  • 24km(ロストもあって5km多く走ってしまった。。)
  • 3時間15分ほど
  • およそ8'00"/kmで進行(全く急いでいないペースで)
  • 水 500cc 消費

もちょっと水、飲んだ方が良かったな。昨年は抜き打ち必携品装備があったそうだけど、今年もこのエイドかな。

■UTMFエイド物語 A6忍野

www.youtube.com

A6忍野 to A7山中湖きらら

ここ、富士忍野高原トレイルレースに出た時のスタート/ゴール会場か!2016年6月に走りました。

懐かしいなぁ。コースも一部同じで嬉しくなる。
地元住民のおっちゃんに挨拶して「ゴールデンウィークは大勢で走らせてもらいますが、よろしくお願いします」と伝える。

素晴らしい天候!田や畑の間の舗装路を、正面に富士山を見据えながら走る。

しかし牛糞肥料がすごい区間があり、一気に瀕死状態に。当日もだろうか。。

トレイルヘッドへ近づいてゆく。直前に自販機三つあり、安心。

12:00、大平山へのアタックスタート。まずは大粒の砂利の林道を走り、

徐々に砂利は小粒となり、土のトレイルに変化。

何度も出てくる長い階段を登る。サイドは坂なので、うまく行き来して登る。

この辺りの看板に注意。「大平山まで45分」と出ていて、ひとつ階段を登り降りすると「大平山まで30分」という看板が出現。お、俺の進行ペース速い?とニヤけて少し進むと、すぐに「大平山まで20分」の看板が。これはもう間もなく着いちゃうなぁ^^ と油断していると、ここからは20分かそれ以上ぐらい掛かる、長い登り。。看板の適当さよ。。

12:50 大平山、獲ったどー!最高の景色!

平野・石割方面へ向かってゆく。

13:10 平尾山、獲ったどー!20分で着いたけど、結構登らされたな。

ここからは最高に走りやすい下りのトレイル!走れるところは走らなきゃ損。

下り終えると市街地へ。すぐに自販機やセブンイレブンが。しかし寄り道する必要もなく...

13:35 山中湖きららに到着!

ここで127kmか...当日はゾンビになっていないことを願うのみ。

今日は人もあまりいないけど、YouTubeの映像では家族サポーターも多く大賑わいだった。当日楽しみ。

■UTMFエイド物語 A7山中湖きらら

www.youtube.com

この13kmは、

  • 2時間ほど
  • およそ8'45"/kmで進行(全く急いでいないペースで)
  • 水 400cc 消費

あかん、水分もっと摂ろう。

この区間についての実行委員三浦さんからの助言は次の通りだった。

  • 「A7で余裕があれば完走確実!」
  • 「ゆっくり休養すること。A8二十曲は小さいエイドなので」
  • 「仮眠、マッサージ。ゴッドハンドがいたりする!ここから14〜15時間掛かるんだから、しっかり回復」

肝に命じておこう。

今回はここまで。スタート地点の道の駅かつやまへ戻るべく、旭日丘バスターミナルまで4kmほど更に走った。

バスで富士山駅経由、河口湖駅へ。
河口湖駅には、道の駅的な施設が併設されていた。しばらく待ち時間があったので、昼飯。家族への土産もゲット。
その後、西湖方面行きのバスに乗り、スタート地点の道の駅かつやまに到着。

総じて言うと、トレイルランナーのロード力が試される区間。そして抑えて走って、A7から始まる真のUTMFスタートに備えるべし。

UTMF 2019 試走 天子山地

最初からいきなりまとめです。

■天子山地試走まとめ

  • トップ選手以外は夕方〜夜に天子山地へ突入。気温注意(好天且つ真夜中にならなければ、そこまで寒くはないと読む)
  • 4時間は山中にいる想定。A1富士宮、あるいは白糸の滝の側のファミリーマートできっちり準備
  • 熊🐻います。出来れば一人で行かず、グループで行くこと。熊鈴必須
  • 序盤戦につき、とにかく脚を温存。特に、山から抜けた後の舗装林道で走りすぎないこと
  • 山を下りてからしばらくコンビニなどはない。自販機はちらほら出現

天子山地へ

UTMFに向けては二箇所、天子山地と杓子山だけはどうしても試走しておきたいと考えていた箇所。 今年も昨年同様序盤パートではあるが、

  1. 夕方〜夜間走になること
  2. 天子ヶ岳、長者ヶ岳、天狗岳、熊森山といった4回のピーク

を踏まえると、どの程度の難易度か身をもって知っておきたいところ。 辛いパートも、試走で知っていれば気持ちが全然違うので。

タイミングはレース5週間前の3月21日。天候は雨模様の予報だったので、しめたもの。悪天候を経験しておければ、当日晴れならややイージーなはず。 ちょうど、雨用装備も山で最終チェックしたかったところなので、おあつらえ向き。

これまで富士周辺を練習で走った経験がなく、UTMFについては試走計画にも手こずる。 特に、試走禁止区間については注意が必要。下記ページの禁止区間にモロかぶり。

https://www.ultratrailmtfuji.com/racers/course/

  1. スタート富士山こどもの国~ A1富士宮〜天子ケ岳登山道入口
  2. 熊森山〜林道湯の奥猪之頭線(*試走時の下山ルートは試走マップを参照下さい。)

え。天子ケ岳登山道入口を経由せずに、天子山地に入れるの? 一方、同ページに掲載されているPDFには、

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うーん、ご丁寧に、ここからどうぞと書いてあるw これに従い、白糸の滝の有料駐車場に止めてから迷惑掛けない感じで「移動」する分にはいいのかな。

下山時については、

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ふむ、熊森山からトンネル横にね。了解しました!

試走開始

AM8:30、白糸の滝有料駐車場に到着。なお、スカスカ。わずか100mのところにファミリーマートあり。ありがたや...ここで何でも仕入れられますね。

AM8:40、試走開始。すでに雨が降っており、上下レインウェアに身を包んで。しばらく、自分の生まれ故郷のような田舎の舗装路を走った後...

AM9:00、天子ヶ岳登山道入り口へ到着。

きつすぎない斜度のトレイルを登り始めます。

何が書いてあるか読めない看板。

テクニカルな登りもあり。

悪天候もあり、ハイカーもランナーも誰ひとりおらず。静かに山と対話しながら登る。

登りの格好の練習場。ハムストリングと臀筋を使って登る。大腿四頭筋は使わない。腰は折らずに、身体全体を斜めにして重心を前へ。重心の真下に接地。これを淡々と繰り返す。
脚の張りが出てきたら、迷わず止まって少し休んでほぐす。
心拍はゾーン3を維持。

登るにつれて、天候は悪化の一途。時々強風も。こういう荒れた天候、なんか奮い立たされるものがあって、全然嫌いじゃない。

今回は補給の練習も兼ねている。
TNFの完走応援イベントに参加して知ったのだが、水分は一度に60cc-100ccぐらいしか身体に吸収されないらしい。なので、がぶ飲みせずにこまめに補給。

補給食については、空腹感があればお手製トレイル餅やグミを。空腹感がなければジェルを、少なくとも必ず1時間サイクルで補給。
45分がいい、という説もあるけど、疲れてくると時間の計算が分からなくなるので、自分は1時間目安で、柔軟に。

10:20、天子ヶ岳を獲ったどー!

展望台も一応見てみるが、今日の天候では何も見えずw

長者ヶ岳へは少し走れる!が、目と鼻の先で、5分ほどで着いてしまう。

長者ヶ岳からは間違って右の田貫湖には降りずに、左へゆくこと。ロストした方のブログを事前に見ておいて良かった。これは間違えそう。

このあたりから、熊のフンが出てきてちょっとビビる。登山道にドドン。何度も出てくる。いかにも「この道はオレの道だ」と主張しているようだった。 熊鈴を鳴らし続けながら進行する。

11:30、天狗岳。長者ヶ岳からは距離もあり、最後に登りもあった。ここでくじけないようにしよう。

鉄塔をくぐって...

熊森山へ進行してゆく。途中からロープを使った登りも出てきて、なかなかハード。
当日この辺りが40kmちょっと手前か、しんどそうw

更に熊のフンが。何度も出てくる...くわばらくわばら...

12:20、熊森山山頂獲ったどー!!

頂上は寒いし、まだ残雪が。アイスバーンになっていて危険。

この後は激下りへ。手・ロープ・木の枝を使って慎重に下るが、これは夜だと危ないだろうなー。熊森山山頂でハンドライトはしまっておいて、ヘッドライトだけでうまく降りねば。

15分ほど進行して、雪見峠の看板が。
このあたりで、自分のiPhone X が壊れ始める...4時間雨に打たれ続けたせいか!ショック。
猪之頭峠まで進んでから、超・激下りを降りて、舗装林道へ出られた。

のだが、後で振り返ると、ここが試走禁止区間だった...?
試走マップとGoogle Mapsの試走用地図を穴が空くほど見ても、いまだにどう行けば正解だったのか分からない...間違っていたようなら本当にすみません...

舗装林道は、誰もが飛ばしたくなるような絶妙な斜度の下り。しかしこれをノーダメージで走れるなら行った方がいいけど、自分は無理なので、こまめに歩いたり走ったりする。

もうiPhoneがまったく機能しなくなってしまった!迷いながらどんどん里に下りてゆき、バス停を発見。ほっと一息ついたが、時刻表を見るとあまりにもバスがないw
致し方なく、住民の方に聞きながらロードを白糸の滝まで5km程走って帰ることにした。

この里のあたりでは自販機に出会えるが、入山からそこまでの食料と水は全て自分で持っておく必要あり。水場があるようなブログも読んだ気がするんだけどな?見つけられず。

消費した水は900ccぐらい。少ない、もっと飲んだ方が良かったか。まぁ、寒かったからな。

本番はスタート時に+25kmぐらいだとすると、どこまで元気に登れるかな。

次の試走は杓子山、待ってろよ〜

※帰りに白糸の滝、見学推奨。すごいです^^

第六回スリーピークス八ヶ岳トレイル38k 完走記

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2018年6月10日に開催された、第六回スリーピークス八ヶ岳トレイルレース One Pack Line 38k に参加してきました。
結果は6時間24分、男子総合70位(250人中)。

ここ一年、レースは出場数を重ねるごとに距離を伸ばし続けてきたので、自身久しぶりのショートレンジ。

来年エントリーを考えている人や、エントリー後の攻略を考えている人向けに完走記としてまとめています。
そのどちらにも該当しない方は、特に面白いブログ記事ではないかもなので悪しからず。 

スリーピークス八ヶ岳とは

今年も One Pack Line 38k と Attack Line 24k、どちらも瞬く間にエントリーが埋まってしまったようだ。
人気の理由をあれこれと列挙することは出来るけど、つまるところこのレースの魅力は、

  • 松井さん・小山田さんを中心とした、レース立ち上げのドラマ。その余韻がまだ続いている

これについては、今回参加するなかで見つけた下記の記事が詳しいので、是非お読み頂きたい。

www.sportstour.jp

そして、

  • 類い希なる彼らのレースプロデュースセンス。HPから大会パンフ、参加賞、大会ブースのありとあらゆるところがいい感じ

この二つにあると思う。

レースを振り返ってみれば、優しいコースではなくどちらかといえばハード。完走率は高いけど、心折られそうな局面が何度か出てくる。

しかし、総48分岐箇所と3エイドでの運営スタッフによる絶え間ない応援が、自然と脚を、心を前へと進ませる。

レースが終わった後には、遅かろうが怪我をしようが、とにかくいい気持ちしか残っていないであろう至極のレース

例年、完走率は約95%程度。と考えると、怪我でやむを得ずリタイアした人が少数いた以外は、キツい局面も乗り越えて、ほとんどのランナーが完走したということだろう。

是非一度、走ってみてもらいたい。東京からは中央線で行けるし交通の便も良すぎ!

ただし38kのエントリー基準には、50km以上のレース完走経験者(または標高2500m以上の山への登山経験者)と掲げられている。まずはその走力・脚力を身につけてから挑もう。

ボランティア優先エントリーについて

自分は昨年、この大会に魅力を感じていながらも、存在を知ったときにはすでにエントリー終了済み。

しかしレースを教えてくれた師匠が、

 ボランティア参加すると次年度優先エントリー権利もらえるよ^^
 あとこのレースはボランティアも楽しいよ^^

と教えてくれた。

以前からレースへのボラ参加はやってみたかったので丁度良かった。ということですぐにボラエントリー。大会前日はボラ受付、当日はC1分岐誘導を担当した。
前日に公民館で繰り広げられるディープなボラ飲み会も楽しくて。すっかり満足して帰ってきた。

それから9ヶ月後の2018年3月、レース優先エントリー連絡メールが届いた。タイミング的なものもあってちょっと悩んだけども、今年は選手として楽しんでみるか!と、出走を踏ん切った。

余談ながらこの、ボランティア参加者への優先エントリー権付与というのはなかなかうまいシステムだなと思う。
ほとんどの大会ではボラスタッフの確保に苦労し、足りないことが多い。
一方スリーピークス八ヶ岳は、むしろボラ枠も人気。
すると、十分なボランティアを集めて、手厚く選手をフォローしたり応援できて、それがまた選手の満足度につながり... という好循環を生んでいる。他のレースであまり見かけないのが不思議なぐらい。

作戦

さてレースに挑むにあたり、まずは目標ゴールタイム

スリーピークス八ヶ岳では、入賞者以外はリザルトが公開されず、関門エイドごとのラップについては全く公開されていない。
このため、各関門エイドごとに何時を目指すべきか、ペース配分計画が立てられない。
関門時間を目安にしようかなと思ったが、どう見ても最初の関門が余裕がありすぎる。

事前に友人らからヒアリングしたところ、どうやら自分の場合は下記のようだ。

  • 7時間は必達目標
  • 6時間30分をクリア出来れば、結構いい感じ。友人らのレコードを超える

ペース配分はなんとも分からないが、平均走行ペースも見つつ、この時間を目標にゴールしたいな、ぐらいに緩めに設定。

次に、レース展開について

先日柴又100kmを走ったたまちゃんに教えてもらったWebサイトの「トレイルであっても心拍はイーブンペース」というメソッドに、確かになと思うところが。

同じ意味合いのことを、雑誌TRAIL RUN 2017-18 AUTUM/WINTER 号「“走れる体”のつくり方」において、宮﨑喜美乃さんも言っている。

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気持ち良く走り続けるには心拍の変動を減らすことが大切です。

今までの自分はというと、

  • 登る→心拍上がる→辛い!→ゆっくり歩く→ラクになってきたらペースアップ

こういうパターンだったのだが、雑だ笑 特に、『ラクになってきたらペースアップ』において、脚も心臓も休ませすぎていた感がある。

これらを踏まえて今回のレースで試してみるのは、

  • 登る→心拍上がる→辛いがLTまでは我慢し、LTに達したらなるべく維持→LTを超えそうになったら速やかにペースダウン。下がりすぎたらペースアップ

こんな感じで、なるべく心拍の上下差を一定の幅に収めることにする。

...なんかトレイルランナーっぽくなってきた!笑

前日の様子と選手説明会

f:id:nuichi:20180614233319j:plain メイン会場の三分一湧水館前広場

前日入りし、受付と選手説明会へ参加。

選手受付後は参加賞をもらう。
まず嬉しいのが、Klean Kanteen のスチールカップ。これ渋谷ヒカリエで1,000円で売ってるやつや...。今年はスリーピークスロゴが緑色。昨年は黒色でした。

instagram.com

実用的すぎるスチールカップ。これは去年の黒バージョンの写真

そして定番のレースTシャツ。今年は、TNFのポリエステル速乾Tシャツ。こちらも実用的なだけでなく、なんたってカタチとデザインがいい。 レース後にFacebookで共有されたけど、今回のデザインは小山田さんの手書きだったらしい。デザインセンスもあるなんて。

f:id:nuichi:20180614233758j:plain レース翌日、嬉しくて着て出社した絵

選手説明会までの空き時間に、スリーピークス八ヶ岳名物、マルシェをブラブラ物色。

エッジの効いたトレイル系ブランドショップがずらり。好きな人からしたら垂涎モノでしょう。Answer4、Hungernock、Mountain Martial Arts, Run Boys! Run Girls!、道がまっすぐなど。

メジャーブランドもすごい。HOUDINI、Adidas, ALTRA, SUUNTO, The North Face, Salomon, PaaGoWorks など。

モノが買えるだけでも嬉しいのに、特価品があったり、スタッフの方と色々話せたり、シューズ試し履きが出来たりするのがまた嬉しい。

そうこうしているうちに、選手説明会が開始。 松井さん、小山田さんによるショートコント 懇切丁寧なコース説明がたっぷり1時間超。

f:id:nuichi:20180614233832j:plain 名物コンビ

小山田さんの、

  • 「C3ヘリポート以降は、まるでUTMB。...行ったことないけど」
  • 「第二エイド過ぎてからハード。ここがスリーピークス」

この二つが印象に残った。

スタート〜第一エイド

明けて大会当日。38kの号砲はAM7:00。自分はかなり早く(一番?)会場入りしてしまった。AM6:00頃から徐々に選手が集まってくる。

AM6:30過ぎからは、ちゃんぷ練の並木さん石井道場の石井基善さんのマッスルコンビによる準備運動。
内容は綺麗過ぎるラジオ体操第一。からの本気のYMCA。みんな苦笑しつつも楽しみながら、準備運動完了。

AM7:00の10秒前から全員でカウントダウン、そしてレーススタート!

f:id:nuichi:20180616160712p:plain 配布されるパンフと公式マップには、この詳細地図が含まれていて便利

250人の38k出走者が一斉に飛び出す。スタート直後、三分一湧水館から公道に出るまでの間は沢山の方達が応援してくれていて、歓声に圧倒される。
中盤の集団には、よくあるレーススタート時のせめぎ合いや駆け引きはなく、みんな楽しそう。緩やかなロードの坂を登ってゆく。

ロード区間は最初の1kmあるかないかぐらい。すぐにオフロードへ。嬉しい!
とはいえシングルトラック。順序よく一列で。時々遅すぎる人がいたら、行儀良く一声掛けて右側から抜く。
最初の3kmは緩い登りとほぼ平坦。気持ちいいが、A12辺りから、編笠山へ向かうしっかりとした登りがはじまる。

自分はというとこの区間は、作戦通り LT心拍ちょい上を維持し続ける ことに集中。

  • 心拍155bpm前後をなるべく維持する
    • 2017年10月に横浜スポーツ医科学センターで測った正確なLT(2mmol)は145bpm。OBLA(4mmol)は165bpm。
    • 2018年3月の静岡マラソンでは平均心拍160bpmで走り続けて36kmぐらいまでは問題無く走れた。
    • そこからの自分の成長...

とか諸々を鑑みると、今回の38km、6時間30分〜7時間動きづつけるなら、155bpmぐらいは妥当か、やや攻め気な設定に思える。

160bpmぐらいになったら、迷わずペースダウン。
150bpm下回りそうになったら、登りでもペースアップ。早歩きか、または走る。

粘り強く繰り返していると、徐々にGarminを見なくても、感覚的に分かるようになってきた。
身体の状態はというと、肌寒い気温にも関わらず、ほどよく温まっていて冷えすぎず。これもいい感じ。

そんな風に自分を制御しながら、編笠山までの開けた登りを、みんなで隊列を乱さずに一心不乱に登り続ける。

f:id:nuichi:20180614234355j:plain この写真はちょっと違う場所なのだが、こんな雰囲気の贅沢シングルトラックを一列で登る

10km先の第一エイドへ到着したのはスタートから1時間15分後。関門はスタートから4時間なので、かなり余裕のあるペースだ。

事前にチープと聞いていたエイドだが、そんなことはなく、必要十分な品揃え。
アミノバリューを一杯、バナナを1/4カット頂き、500mlまでソフトフラスコを補充して、1分と掛けずにすぐ出発。
エイドを出た直後はしばらく、気持ちのいい下りが続いた後、C区間に入る分岐へ。

熊が出た!ハイタッチした後、標高2500m、本レース最高峰の三ツ頭分岐への、長い登りが始まる。

f:id:nuichi:20180615000502j:plain くま! Photo by http://trail38.com/result2018/?id=gallery

三ツ頭分岐〜第二エイドへ

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C区間のはじめは、昨年のボラで歩いた場所。懐かしくて、嬉しくて。あっという間に昨年分岐誘導を担当したC1分岐へ。今年の誘導スタッフと少し会話した後、どんどん先へ進む。

天候がよければ景色が最高なはずのC3ヘリポートは、今年は小雨でお預け。
その辺りから森林限界を超えてきて、岩肌の露出した登りへと変化する。斜度もきつくなってきて、手を使わなければ登れない場所もしばしば。
これがラストにあったらノックダウン!だが、幸いにもまだ14kmぐらいしか走っていないので、元気に前進できる。

とはいえ、極力脚を使わないこと。心拍は射程圏内を維持していること。この二点に集中していた。

C4からは特別環境保護地区エリア。一列走行遵守、無理な追い越しは禁止だ。見る限りみんなルールを守って前進していて、マナー違反者はいない。スリーピークス八ヶ岳を走るランナーは、皆紳士的。

C1からC2や、C4からC5三ツ頭分岐までは区間が距離が長くて辛さもあるが、分岐誘導スタッフが皆大声を張り上げて、ガラガラとカウベルを鳴らしてくれているので、それが聞こえてくると不思議と元気が湧いてくる。

ついに最高峰のC5三ツ頭分岐に辿り着くと、5人ぐらいのスタッフが応援してくれていた。標高2500mでこの天候、寒いのに!感謝しかない。

余韻に浸るのも束の間、切り返して、登ってきた以上に急な斜度での下りがはじまる。さすがにさほど走れないが、思いの他テンポよく下っていける。
途中で分岐に立っていた小山田さんに会った時には、マジでUTMBですねこれは、と伝えた。自分もUTMB、まだ知らないけども。

その後だんだんと走れる下りになってくるのだが、下りの苦手な人には辛い区間だろう。どうしてもスピードが出てしまう。しかし下手なブレーキを掛けると脚にくる。
自分はここ最近、下りの走り方が分かってきたところなので、積極的に走ってかなりの人を抜かせてもらった。
しかし、どうしてもこの長い下りでは心拍は上がらない...bpm140前後を推移してしまっていた。

第二エイド到着はスタートから3時間26分。500mlの水分がちょうど終わるところだったので危うかった。暑い天候だったら、水切れしていたと思う。
相変わらずエイドスタッフの方が親切で、自分の代わりにボトルに水を入れてくれたり。それに甘えつつ、その間自分はバナナやオレンジをパクつく。空腹はハンガーノックのサイン。そうならないよう、それなりに食べておく。
2分ほど滞在して、あまり休まずに出発。

心持ちとしては、大きな山場は超えたので、後は楽しいトレイルなのかな?と期待していたのだが、小山田さんが言っていた「第二エイド過ぎてからハード。ここがスリーピークス」これが待ち構えていた。

C10〜C19、鐘掛松の第三エイドへ

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第二エイドを出てしばらくすると、しんどい登りが待っていた。第二エイドまで飛ばし気味且つ、登りも下りもしっかりあったので、なかなかにタフ。

周囲に目をやると、みなしんどそう。アップダウンが何度か(いや何度も)続き、脚を削ってゆく。時々、ここまでに脚の温存に成功しているランナーが元気に追い越してゆき、感心させられる。

しんどいが、この区間でも分岐が近づくごとにスタッフの声援やカウベルが聞こえてきて、それが小目標となって、持ちこたえさせる。

登りでは抜かされ、下りで抜きかえす、というパターンが多くなってきた。
C区間は、スタートから三ツ頭分岐以上に長く長く感じる...終わらないのだ。なので、Cってそもそもいくつまであったっけ、20ぐらいまであった気がするな、あまり焦らずひとつずつクリアしていこう、という気持ちで前進する。

進行スピードが遅くなってきたことで、水分の枯渇が恐ろしいのだが、C17かC18か(忘れた)では分岐スタッフの私設エイドが。飲み物を準備してくれていて、九死に一生を得た。

長く感じるC区間がようやく終わると、しばらくは安心して走れるトレイルに。

f:id:nuichi:20180614234540j:plain 抜きつ抜かれつを幾度となく繰り返したタフなランナー

この写真のランナーは、何度抜いても抜き返してきたタフなランナー。「脚がつっちゃって」と言っていたのに。かなり長い間、お互い近い距離感でつかず離れず走っていたが、A18以降の南に降りる分岐以降、圧倒的に自分を突き放していった。すごい。

鐘掛松の第三エイドに到着できたのはスタートから5時間25分。かなり疲労していたので、しっかり水分も食料も補給する。
松井さんの予告通り、とても充実したエイド。ほぼ全部、少量ずつ頂いた。

f:id:nuichi:20180614234617j:plain 鐘掛松の第三エイド。アルトラがスポンサー。本当はもっと長居したい笑

鐘掛松から出発すると、しばらくは長めの砂利道。その後も走りやすい下りがずっと続く。
周囲のランナーはというと、みな最後の元気を振り絞って、力強く走っている。
途中で24kの最後尾ランナー達との合流が始まる。24kのゴール関門は17時までだから、彼らもゴールできそうだ。

各ランナー間の距離も拡がり、抜いたり抜かれたりということもあまりなくなってきて、レースが終わってしまうことを惜しみながら、スタート/ゴール地点の三分一湧水館へと辿り着けた。

振り返り

あらためて、チェックポイントの到着時間を振り返ると、

  1. 第一エイド 1時間15分(エイド滞在1分)
  2. 第二エイド 3時間26分(エイド滞在2分)
  3. 第三エイド 5時間25分(エイド滞在4分)
  4. ゴール 6時間24分

であった。周囲のランナーのペースとの主観的な比較だが、第二〜第三が弱かった。無論もっと攻めたかったところだが、力及ばず。
優勝は4時間0x分台。2017年の上田瑠偉君の3時間53分は凄すぎて別世界。。

長丁場のC区間の進み方について。
C区間は19まである。完走後に思ったが、この数を覚えておくと、次の目標を求めて多少は気が楽になるはず。

さて、心拍を一定に維持する作戦はうまくいったのか?

これについては二重丸◎、大成功といったところだろう。
三ツ頭分岐以降の下りで心拍が落ちて以降、パフォーマンスを落としてしまったのが悔やまれる。とはいえどう抵抗していいのか今は解がないが...ともあれ、今後のトレーニングでも意識して、どんなトレイルでも今回のようなペースコントロールで走れるようになりたい。

最後に。

今年も公式サイトのフォトギャラリーがアップされた。これを見れば、小生の下手なブログ記事を読む必要もなく、スリーピークス八ヶ岳トレイルレースの魅力が分かってくるだろう。

選手、運営側、スポンサー、応援者。関わったみんなの笑顔から、このレースの類い希なる魅力を感じ取ってもらいたい。

http://trail38.com/result2018/?id=gallery

自分はというと...過去の完走記で見た絶景写真に憧れて、天気のいい日にまたひとっ走り行ってくるかな、と思っています。

ハセツネCUP2018完走のために伝えたい、大事な三つのこと

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ハセツネCUP2018へエントリー成功した皆様、おめでとうございます!

レースまでは4ヶ月。時間はまだ十分。完走を目指して、トレーニングとギア準備を油断なく進めて頂きたい。

私は昨年のハセツネ2017に出場し、16時間以上も掛かったが、なんとか完走。
酷暑且つ湿度の高い日中、夕方からは霧が出て、夜は小雨という天候コンディション。全ての出走者がハセツネの厳しさを思い知った大会だったと思う。

ハセツネ完走のためのアドバイスはいくつもある。水分や食料の戦略、関門区間ごとのレース運び、シューズやレインウェアやバックパック...

それらは一旦、他の完走者の方の情報を探して頂くこととして、私からは昨年の経験を通じて、次の三つに絞ってお伝えしたい。

  1. ヘッドライト選びは慎重に
  2. トレッキングポールから力をもらおう
  3. 試走必須

本当に本当に大事なこの三点。私の失敗・成功体験が、少しでも完走の助力になれば幸いである。

1. ヘッドライト選びは慎重に

私のハセツネ最大の失敗は、ヘッドライトだった。

レース前、私はまだヘッドライトを持っていなかった。リサーチの後、購入したのは Black Diamond の SPOT。これを二つ購入した。一つは頭に、一つは腰に付けるため。

他のブランドでは、LEDLENSER、PETZL、GENTOS あたりも候補だったが、次の理由から、当時は SPOT で迷わなかった。

  • Run boys! Run girls! で取り扱っていた。この店が扱っているなら信頼できるギアだろうと考えた
  • 300ルーメン。すごい数値。かなり明るそう
  • Amazonのレビューでも高評価
  • 比較的リーズナブル。5,000円程度で購入できた
    • 腰のライトと言えば UltraSpire の Lumen 600 がフラッグシップ。トップランナーも採用している。しかし20,000円以上するし...

SPOT 入手後、近所の玉川上水沿いのプチトレイルで夜間走を試してみたが、これは十二分な明るさだな!と感じたものだ。

しかしハセツネ当日。想定外に悲惨な結果となった。

第一関門の浅間峠を過ぎて SPOT を灯すも、あれ?意外と暗いな...と不安がよぎる。

下界の平坦なプチトレイルでは十分に感じた明るさも、山だと違った。
下界では、暗いとはいえ電灯や家からこぼれる灯りがある。山のような、真の暗闇ではない。また、山の複雑な地形も影響する。

そこへ濃霧が立ち込みはじめ、一気に視界が遮られる。
更にその後、シトシトと雨が降り始める...これが決定的にまずかった。

SPOT は霧や小雨に全く太刀打ちできず、視界はわずかな範囲をおぼろげに照らすだけ。自身の足先が、まるで見えない。

なんという恐怖!必死の集中力で、少しでも視界の確保を試みるが、見えない。何も見えない。
この状況下で走るなんて全く無理で、一歩を踏み出すのにも勇気が必要だった。危険だったし、本当に疲れ果てた。

その光景を見よ!(この映像はピントがボケているのではなく、私の目を通じて見えていた光景とほぼ同じ)


ハセツネCUP2017 霧の夜間走

途中、第二関門の月夜見の駐車場エイドへと向かうロードで、ライト無灯火のような私とは対照的に、あまりにも明るいヘッドライトで走るランナーがいた。雨をものともせず、煌々と前方を広く照らしている。
思わず近寄って「そのライト、すごいですね」と話し掛けたところ、「でしょう。レッドレンザーのライト、最強ですよ」

それがこれ、 LEDLENSER MH10

ハセツネで苦々しい思いをした私はその後、2018年4月の奥三河パワートレイルを前に入手。
なおアウトドア系のお店のヘッドライトコーナーでは、どの店でも面出しでプッシュされていて、自分は売り場のどこを見ていたんだ...と。

三河パワートレイルのレース後半では、どんどん関門が厳しくなってゆくと同時に、夜間走へ突入したが、暗闇に不安なく、走り続けることが出来た。制限時間前ギリギリで完走出来たのは、間違いなくこのライトのおかげ。
ゴールまであと3kmほどの地点で、薄暗いヘッドライトで慎重に走っている人を抜かしたが、彼は制限時間内のゴールは難しかっただろう。

その後、彩の国100kmでも十分に働いてくれた。このレースでは更なる快適さを求めて、ハンドライトの LEDLENSER P7R も入手し持ち込んだ。

ヘッドライトで前方を、ハンドライトで足下を照らし、全く隙がなくなった。
ただハンドライト P7R については、知らずに最強モードで使い続けてしまったため、案外早くバッテリーが切れてしまい、途中からヘッドライト MH10 だけにしたのだが、それでも特に困らなかった。

このヘッドライトがハセツネの時にあったら!恐怖も無く前進でき、あと2〜3時間は早かっただろう自信がある。

MH10もP7Rも、充電電池を採用している点もいい。レース前、"ヘッドライトには必ず未使用の電池を入れること" とはいうが、とはいえちょっと使っただけの電池を抜いて毎回新品を入れるのはコスパが悪い。
比べて、MH10はmini-USBケーブルを刺すだけのお手軽充電。P7Rには、マグネット式の使い勝手のよい充電システムが採用されている。

どうか私のように、レースでは、あるいは天候次第では使えないレベルのヘッドライトではなく、安心して走行できるヘッドライトを手に入れて欲しい。

※なおフォローしておくと、Black Diamond SPOT は、ロードのナイトランにおいては今も活躍してもらっている。

<参考>

2. トレッキングポールから力をもらおう

ハセツネ前、トレッキングポールを手に入れ、使うべきかは悩んでいた。
そんな時、ハセツネの情報収集中に読んだ松井さんのブログ記事で、ポールについて真剣に考えはじめる。

mountain-ma.com

上記の記事からの引用。

まずはストック(ポール)について。
これ、必須です。
かなり走力がないと、ストックなしでは三頭山も御前山も戦えません(笑)
ストックは第1関門の浅間峠後から使用可能なのですが、本当にこれに支えてもらいました。
なんなら、御前山なんて半分以上寝ながら進んでいたので(笑)
このストックなしでは無理だったと思います。

また、有用なトレイルランの教科書のひとつ「ウルトラ&トレイルランニング コンプリートガイド」の第七章には、以下のようにある。

ウルトラ&トレイルランニング コンプリートガイド

ウルトラ&トレイルランニング コンプリートガイド

"Lean on Me":トレッキングポールから力をもらおう

ヨーロッパのトレイルランナーが、マウンテンランニングにトレッキングポールを取り入れるようになったのは、かなり昔のことだ。米国ではかなり遅れたが、現在、使われることが多くなっている。トレッキングポールがいちばん役に立つのは、上りである。山にさしかかったランナーが、背中を丸めて両手を膝につき、腕で前に進もうとする。そんな姿はすぐに頭に浮かぶだろう。だったら、前かがみにならずにポールをつき、上半身の力をうまく利用している姿も想像してみよう。なかには、ポールを使うと、上りでのピッチがより速く、効率的になると言う人もいるのだ。

クリッシー・モールは、2009年のUTMBを制した選手だ。この大会は、アルプスを舞台に行われる103マイル(165km)のレースだが、モールはここで初めてトレッキングポールを使った。その効果を問われたモールは、こう答えた。「大あり。かなり働いてもらった。特に後半。ラスト30マイル(48km)に大きな上りが3つあったけれど、まさに引っ張ってもらったわ」

比較的長いレースでは、上りが速くなるとタイムが縮むだけでなく、レース後半まで力を残しておける。ウルトラマラソンのベテラン、ギャレット・グロービンズは、レッドヴィル100マイルを走ったあと、「トレッキングポールは、一歩一歩、ほんの少しずつ、私の脚を助けてくれた。このほんの少しの支えが、100マイル分、積み重なっていったんだ」と語っている。

こういった情報も参考に、ハセツネに挑むにあたって、トレッキングポールの力を借りようと決めた。
イメージ、第一関門の浅間峠を出発するとき、第二形態にフォルムチェンジ、武器装填完了!みたいな。

私が選択したのは、Mountain King - Trail Blaze (アルミ) だ。
トレイルランニング向けのトレッキングポールの比較については、前回まとめた記事も参考にして頂きたい。

longmayyourun.hatenablog.jp

私は事前に、白馬国際トレイルレース50kmで実践投入。このレースでは、トレッキングポールをフル活用して力強く走ることができて、7時間12分。自分的には快走だ。

ポール活用の手応えを得た私は、ハセツネでもフル活用。まさに一歩ずつ、脚を助けてもらった。

さてハセツネで使う場面だが、まずはポール解禁となる第一関門浅間峠から大ダワまで。

大ダワから大岳山の間にはガレた下りが続くため、収納しておこう。手で持って降りると邪魔になるだけでなく、周囲のランナーにとっても危ない。

終盤の日の出山以降も使える場所。もう一度取り出して力を借りるのもいいだろう。

3. 試走必須

よほど完走に自信のある人以外は、必ず試走しよう。ハセツネクラスのコースでは、試走の有無は完走の明暗を分ける。
試走していさえすれば、精神的な安心感が全く違う。
知らないコースを、「いつこの登りが終わるのだ」と不安に思い続けて進行するのと、「この道は知っている、前に走り切れた」と自信を持って進行するのでは大違いだ。

ハセツネの試走は、前半と後半を分けて行おう。

前半は、武蔵五日市駅からスタート。三頭山直前で三頭大滝側へ降りて、都民の森で終了するのがおすすめ。ゴール地点の都民の森では、水分や軽食確保が可。そこからバスで武蔵五日市駅へと戻ることができる。

後半は逆に、武蔵五日市駅から都民の森へバスで移動。都民の森から走りはじめて、三頭大滝の側から三頭山直前のルートへ戻り、あとはゴール、つまり武蔵五日市駅まで走る。

アレンジとしては、前半は月夜見駐車場まで、後半も月夜見駐車場から、というコース取りもあるようだ。

なお、モシコムなどで試走会を見つけることが出来る。こういった会に参加するのはおすすめ。攻略の仕方を丁寧に教えてもらえるだろう。

個人的には、無理にハセツネコースで夜間走をする必要はなく、両方日中でいい。夜間走は、未経験であればそれはそれで別途軽く試しておこう。

最後に

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多くのハセツネ初チャレンジャーは、はじめて70kmという長距離、そして夜間に及ぶレースを経験するのではないかと思う。

ハセツネは制限時間24時間と、時間は十分にあるため、水切れや怪我がなければ、多くの人がゴールできると言われる。近年の完走率も75%−85%程度と、高めではある。

しかしながら、500人程度はリタイアするわけで。キツい局面は少なくない。レース中、リタイアを申請するランナーに遭遇すると、ぐらりと心が揺れる。

まず、万が一生死に関わるような身体の状態になったら(水切れしそうなど)、無理する必要はない。意地を張らず、今年は諦めよう。 来年、十分に準備して再度挑めばいいのだ。死んではいけない(ハセツネでは過去、死者も出ている)。

ただしその手前、心が折れそうになった時は...踏ん張るしかない。 そんな時の私のおすすめの呪文をどうぞ。

「ゴールしたら、ビールを呑んで、今日はもう何もしない」

喉の渇き、水分枯渇と闘うハセツネでは、やけに力がわいてくるフレーズだ。 辛いときに、どうか唱えてみて欲しい。

トレイルランニング向けトレッキングポール比較表【2018年更新版】

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トレイルランニング向けトレッキングポールの比較表を作成・更新してます。下記からどうぞ。

docs.google.com

トレッキングポールの仕様表記は各メーカーごとにまちまちなのですが、こうして揃えると比較がしやすいかと思います。

是非、選定時にお役立てください。

以降は、このシートを作成しながら収集した情報からの知見です。

トレッキングポールの選択肢

トレイルランニングに適したハイエンド・トレッキングポールの選択肢は多くなく、事実上、次の3メーカー計6製品に絞られる。

  1. Black Diamond - Distance FLZ または Distance Z
  2. SINANO - トレランポールシリーズ 2種
  3. Mountain King - Trail Blaze シリーズ 2種

Amazon石井スポーツで、あんなに沢山ストック売ってるのに?と思われるかもしれないが、違いがある。

それは、軽量性を筆頭に、剛健性、レース中走行時の取り回しのよさ破損時のアフターサービスなどだ。そして...残念だがなかなか財布には優しくないお値段。ごく一般的な登山用ストックとは、似て非なるカテゴリーである。

特に重要な選定ポイントとなるのは素材軽さだろう。
素材については、カーボンを選ぶか・アルミを選ぶか。それが軽さともある程度関係する。以下が、素材別の一般的なメリット・デメリット。

素材 メリット デメリット
カーボン ・軽量 ・ポッキリ折れる/割れる
・お値段高め
アルミ ・折れにくい(曲がる程度)
・カーボン比で安価
・カーボン比で重い

しかし上記はあくまで一般論であり、Mountain King のアルミはBlack Diamondのカーボンより軽い というような一般論を覆す点も、選定時には加味したい。

各メーカーごとに、詳しくみてゆこう。

Black Diamond - Distance FLZ または Distance Z

ハイエンド・トレッキングポールの先駆け。 トレイルランナーだけではなく、熟練ハイカー使用者もよく見かける。

FLZ の特徴は、15cm-20cm幅のフレキシブルな長さ調整機能登り時と下り時で長さを変えながら使うといったことも可能にする。また、買ってみたがちょっと長さが身体に合わなかった...のような失敗がなくなる点も軽視できない。 ただしその機能によって、やや重量が増している点には留意。

Zはそのフレキシビリティを捨て、長さは固定だが軽量だ。

どちらも Black x Blue のカラーとルックスも格好いい。

実売価格は定価よりやや安め。
なぜかAmazonなどでは欠品・高騰気味だが、リアル店舗では入手しやすいので、是非手に取ってみてもらいたい。 東京のリアル店舗だと、石井スポーツや Run boys! Run girls! に置かれている。

アフターサポートの問題はあまり聞かない。友人はレース中に割ってしまったが、シャフトの交換は問題無くスピーディーだったとのこと。

SINANO - トレランポールシリーズ

スキー用ストック・登山用ストック・杖に秀でた、まもなく創業100年の国産老舗メーカー、シナノが送り込んできたトレイルランニング用トレッキングポール。

ショッキングピンク x グリーンの鮮やかな色使いが目を引くトレッキングポールだ。
プロトレイルランナーの支持者も多く、ビッグネームが名を連ねる。山本健一、望月将悟、小川壮太...彼らの意見も製品開発に反映されているという。

ラインナップは、上級者向けのトレランポール 13.6.proと、初・中級者向けのトレランポール 14.0の2ラインナップ。 この数値はシャフトの太さを表していて、剛健性と相関する。

トレランポールシリーズはアルミだ。トレイルランニングという競技性から、剛健性を重視し、一方で十分な軽さも確保している点で、アルミに自信があるのだろう。

実売価格は、リアル店舗でもオンラインでも、定価の場合がほとんどのようだ。Amazon でも購入可。
置いてる東京のリアル店舗は、Trippersなど。

アフターサポートは問題なく、破損時はシャフト交換可。

<参考>

Mountain King - Trail Blaze シリーズ

本当に必要な機能に絞った、フランス生まれの超軽量トレッキングポール。

Mountain Kingはポール専門メーカー。フランスのトレイルスター、セバスチャン・セニョーが開発に関わっている。

カーボンのTrail Blaze Skyrunnerは、最短の100cmならなんと2本で212gしかない。つまり片手にみかんを一つずつ持つ程度。
アルミのTrail Blazeでも250gと、カーボンを採用しているBlack Diamond Distanceよりも軽いのだ。

私はこのMountain King Trail Blaze の、アルミ110cmを愛用している(なお私の身長は175cm)。軽さと剛健性のバランスを取った。

実売価格は、リアル店舗でもオンラインでも、定価の場合がほとんど。Amazon でも購入可。
東京のリアル店舗では、三鷹のハイカーズデポ、Run boys! Run girls! 、Trippers、確か上野御徒町のアートスポーツ ODBOXにもあった気がする。

アフターサポートは問題無く、公式サイトによれば修理センターに到着後、1~2週間で修理とのこと。

<参考>

トレッキングポールを使うべきか

ミドルからロングのストック使用許可レースでは、使わない手はない。これについてはまた別の機会に、記事を書きたい。

以上、トレイルランニングにおけるトレッキングポール選択の一助になれば幸いです。

第三回 彩の国 100km 完走記(2/2)【southの闘い】

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前回からの続き。

⑥桂木観音58.0km

ニューサンピアを出て、走りながら Garmin と格闘。諦めて再度計測スタートはしたが、充電しているとまた落ちている。充電する→充電されてない?→落ちる、の繰り返し。
前半時点で充電残42%ということは、少なくとも70-80%には戻したいところ。もし充電が全く出来ないとなると、終盤でのペース確認・時刻確認が全然できないではないか…

あとから思えば時間はスマホで確認出来るのだが、焦ってしまって気が回っていない。

そうこうしている間に、山へ突入。暗さの中、足場を慎重に確認しながら登る、時計を確認するとまた落ちている、充電出来てない、レインウェア暑い、脱いでみたら寒い、焦る…

とまぁそんなことを、後から思えば未練がましく長々とやって無駄に心労を重ねてしまった。
桂木観音まではたった7kmだったのに、こんなことをして気が散っていたので、とても長く感じた。

4kmほど前進した辺りで、未練を断ち切った。

充電を諦め、延命を計る。
GPS1秒ごと計測+GLONASSモードを捨てて、UltraTrackモードに切り替える。思った以上にルートoffが頻発し、1分ごとのGPS捕捉がこんなにひどいとは、と凹む。
バッテリーの消費を睨みながら前進するが、思ったよりもまだ消費が早い。
説明書は隅々まで読んでいて、確かbluetoothが消費すると書かれていたなと思い当たり、スマホとの連携をoff(今更!これ次回からスタート時に必ず切る)、更にルートガイドも捨てる。

計測精度は落ちたものの、気が散る要素が減ったことで、晴れ晴れした気持ちに。レースへの集中力を取り戻す。

途中、大高取山へ向かう分岐があり、最後にここにまた差し掛かるのかなと横目に見ながら、ようやっと桂木観音エイドへたどり着いた。

稼いだ貯金がわずか5分に減っていてまた凹みつつも、楽しみにしていたシチューをパクパク食べる。夜のエイド開設・保守、本当にありがとうございますという気持ちで、必要なものを全て補充する。流石に夜は寒いので、ソフトフラスコを無理に満タンにする必要もなくなってくる。

この先は試走で知った道だと思うと、気持ちは戻ってきていた。

高山不動尊66.5km

桂木観音エイドを出てすぐのところで、二人組のランナーさんと会話。
二人とも試走しておらず、夜への不安に加えて、この後に関八州見晴台があるからここからずっと登りなんですかね、と怯えていた。
実際は桂木観音から出てすぐは走れる区間。むしろ走っておかないともったいないようないいトレイルなので、そう伝える。また、関八州見晴台も、想像しているほどきつくないですよと添えて、ではお先にと闇夜のトレイルへ。

疲労と暗さで、試走の時のように、風を切って駆け抜けるような走りは流石に出来ないが、それでも元気に走る。途中でコースが急に左側に上がるところでコースアウトしないようにせねば、とか考えていて、集中力も切れてない。

途中で里に降りた時に、思ったよりも疲労があるなと感じる。ここまでまだ60km超。疲労はあって当然だが、足の張りが抜けなくなってきていた。

それでも、試走で知っている道で良かった。関八州見晴台を力強く通過。

関八州見晴台からの息を呑む夜景

静寂の関八州見晴台。圧巻の夜景に息を呑んだ後、ここではあまり休まないと決めていたので、即座にツツジに囲まれた下りへ。下りも走れている。小さいステップで、ブレーキを掛けずに、水が流れるように—。そして高山不動尊エイドへ。予定時間より40分近く早い到着だった。

見渡せばかなりグロッキー気味の人もいるが、食べないことには走れない。
プリンがうまい!ペロリと二つ頂いた。丁寧に作られたサンドイッチも美味しい。パンは固いが問題ない。
カフェイン入りカプセルも、ものは試しで頂いて、水分もしっかり補充。

滞在10分ほどでスタート。西吾野(※にしあがの、と読む)駅までは知った道で走れる自信があったので、何人か抜き去りながら駆け下りてゆく。

⑧竹寺76.6km

自身最長走行距離を超えて、まだ脚は動くが、西吾野駅からの未試走コースに出た辺りから、急に歩みが遅くなる。知らない道というのが、これほど身構えさせるとは!そして睡魔が訪れる。

知らない道→ペース感分からないので落とす→ゆっくりペースで眠い…

再び山へ入る前に、とにかく食べておかねばと、子の権現までの区間用にバナナを一本。
バナナはいつでも食べられる。一房持って行きたいぐらいだ。

なぜか草が濡れている山へ。Trans Alps F.K.T II にはつま先部分に若干の防水コーティングがあって、濡れに強いのでガシガシ進む。
しかし眠い。すると、歩き・走りが雑になってくる。無駄に消費しているのだ。だが山に入った以上、眠りやすい場所もない。

虫がいなきゃ寝ちゃおうかなと思い、足下を見ると、小さな昆虫と目が合った。普段静寂の中に住む彼らからすると、さぞかし迷惑な客人達であろう。加えてさっきから茂みに何か鳥獣がいる気配もする。
ハセツネの時は全く眠くなかったから、眠くならないと思ってたんだけどな、何が違うんだろう、と訝しみながら進む。

遙か先にヘッドライト。遙か後方にもヘッドライト。一人、時々星空を仰ぎながら、登る。想像していたよりもタフな登りを前進しつづける。

子の権現の茶屋で休むかどうか決めていなかったのだが、到着してみたらあまりにも茶屋がゴージャスで、そして竹寺まで一気には行けなさそうな疲労状況だったこともあり、一旦腰を下ろす。
周囲のランナーはというと、うなだれて座っている人、一瞬チラ見して先を急ぐ人、食うべきか食わざるべきか悩み続けている人など千差万別。

自分は悩まず「肉うどん一杯!」とオーダー。

こんなに美味いうどん食べたことない

500円だったかな。いやもう、生涯食べたなかで一番うまいと思わせられる、染み入るうどんだった。豚肉も鶏肉も入っていて具沢山。
レーススタート以降、はじめてしっかり食べた。食べている様子につられてか、他の人もうどんを注文し始める。
身体もしっかりと温まって、さぁ竹寺エイドへ。

しかし、脚の疲労はかなりの状態。それ以上に、眠気との闘い。なんとか必死で竹寺エイドへ到着。貯金は13分ほどと大きく減っていた。先ほどうどんを食べたこともあって、竹寺の豚汁は食べず、少し補給して、あまり休まず前進することに。

⑨吾那神社87.3km

思い返せば、自分にとっての彩の国100kmは、この区間において極まった。

竹寺エイドを出た後は、疲労と眠気を引きずって朦朧としながら、とにかく意識が飛ばないように、飛んだら落ちて死ぬぞと自分を戒めながら前進する。

途中、少し里に下りて、あぁここが簡易郵便局か、確かに水道あるなぁと見掛けたそのすぐ後で、一旦睡魔を断ち切らないと、次の山は超えられないと決断。山中と違って里ならどこでも寝られそうだ、見る限り虫もあまりいない。仮眠を取ることにする。

道路で寝ていると車に轢かれる恐れがあるので、人の家の私道の入り口へよっこらせと腰を下ろさせて頂き、大の字になる。星空を見上げる。美しい星空。Atuさん、星見えましたね、と思った矢先に、一気に眠りに落ちた。
浅い眠りのため、ランナーが通る度に少し目が覚める。竹寺で抜かした女性ランナーが抜いていく。悔しくはなく、敬意を表すのみ。

15分後に完全に覚醒。よし。よし、行こう、行けると自分を取り戻して、再び走り出す。
眠ったことで脚の疲労がたまるかなと不安だったが、むしろ少し回復している。

次は大高山だ、そう遠く無いはず。そもそも東吾野まで11kmしかない、近いぞと考えて前進する。

しかしその後は、脚の疲労が容赦なく、山へ突入した辺りから牛歩の歩みとなってゆく。

80km、これが自分の脚の限界だった。脚が完全に終わってしまった。

脚が終わる状況はこれまで幾度となく経験しているので、特に焦りもない。いっそEVE A錠でも飲んだろか、でも飲んだら痛みのリミッターが効かずに、明日以降怪我してそうだからやっぱやだな、とか考えながら登ったり下ったり。果てしなく登ったり下ったり。

かなり壊れた脚を更に壊したうえで、山頂らしきところに着いたので、ここが大高山か、と安堵した。

ということは次が天覚山か、容赦ないアップダウンだなと思いつつ、
かなり壊れた脚を更に壊したうえに、トドメを刺すかのように破壊して、山頂らしきところへ。 もうかなりきつかった。後は東吾野へ下るはず、と思っている。

しかし、なぜか下りが始まらない。むしろ、登る。えげつなく登る。
もう脚には痛みしかないので、一歩進むにも激痛が走るが、痛みは重要ではないから頭の片隅にどけて、次には何時に補給をするぞ、まだジェルも残っているぞ、悪心が起きていないのは幸運だ、とポジティブに攻めの気持ちで進む。

登りが永遠とも思える。この登りはどこに向かっているのだ、いつ東吾野への下りが始まるのだ、と思いながら、小さな山頂へ。しかし前を見ると、これでもかというように、先にはまだ登りが続いている。

この山頂に刺された、小さな案内看板を見て唖然とする。
「→至 大高山」と書かれているではないか。

恐怖を感じた。全精力を投じて、這いつくばって登っていたのは、大高山でもその先の天覚山でもなく、名も無き前山だったのだ!

ここまで消耗しきっているのに、まだ竹寺エイド〜吾野エイド間の半分も来ていないという事実を理解出来ず、気が動転した。

ここまでと同じぐらいかそれ以上辛い感じで、大高山と天覚山へ?もう何も力、残ってないのに?
時間的にもかなり遅れている。そろそろ吾野神社が見えていたい時間帯なのだ。

進むしかない。まず大高山は、その後はそう遠くなかった。すでに遠くに日の出が見える時間。このペースだと24時間は難しいなと悔しい気持ちに。しかし切り替えて、27時間に目標を再設定して進む。

天覚山へはストレートなのかなと思ったら、全く容赦ないアップダウン。なんというコース!
ここ、悪名高き「飯能アルプス」を試走していなかったことを心から悔やんだ。知っていたら気の持ちようが違っただろう。

果てしないアップダウン。終わりが見えない。 かなり壊れた脚を更に壊したうえに、トドメを刺すかのように破壊して、メタメタにしたその上でたどり着いたのが、この光景。

そろそろモグさん、Atuさん、コーイチさんはゴールしてるかなと思い馳せながら、ようやく東吾野へ降りてゆく。

東吾野駅周辺では、ベンチで休んでいるランナーが数名。もうエイドが近いことは分かっているはずだが、動けないのだろう。

帰路に着いているランナーがいた。リタイアしたのだろう。
目を見て、お互い軽くうなずいて、言わなくても通じる言葉を交わしながら、彼は駅へ向かい、自分は先へ進む。

予定より1時間35分遅れと大きく崩しながら、吾野神社エイドへ到着。もうヘッドライトはいらない明るさ。
エイドのスタッフの皆さんも流石に疲れていて、あくびをして眠そう。ただただ、感謝しかない。
鳥うどんを一杯頂いて、もうあまり食欲ないな、こんなことではUTMFは走りきれんなぁ、と自分の弱さを嘆きつつ、新たな課題を認識する。
10分ほどで補給と休憩を済ませ、エイドを出る。

まだ87km。あと20km弱もある。脚には痛みしかないが、唯一の救いは、試走で知っているコースであること。
イメージすることが出来る — ユガテ、北向地蔵、一本杉、鼻曲がり、そして桂木観音へ戻る —。

北向地蔵までは距離感を感じずにすぐに辿り着けたが、ここからの体感は試走の時と随分違って、長く長く感じる。
一本杉へ向かう登りで、さっきのエイドで見かけたランナーが、下のロードをなぜか元気いっぱいで走っている。
これは盛大なロストなのか、それともショートカット確信犯なのかと悩ませられながら、もう声を掛けるにも遅いので、忘れることにして自分は登る。

語らぬ一本杉。この写真は試走の際に撮影した一枚

一本杉までは恐ろしく遠く感じた。ただ、気持ちのいい朝だった。精魂尽き果てているが、今日もいい天気、絶好のトレイル日よりだな。いいトレイルだな、いい木々だな、また元気な時に遊びに来たいな、と考えながら歩く。もう走ることはできない。気持ちは走っていて、早歩きはしているが、もう走った時の着地を支える力はない。

あと15km。ふいに100mileのランナーが現れて、元気におれを抜かしてゆく。圧倒的だ、すごい。尊敬と畏怖の念。south一週目なのか二週目なのかは分からないが、とにかく元気に駆け下りてゆく。その後ろ姿を無言で見送った。

⑩桂木観音97.8km

二度目の桂木観音エイドへの到着は当初24時間プランから2時間20分遅れているが、27時間はまだ諦めなくていい時間だ。
あと8kmほど。試走はしなかった、大高取山へ。でかいらしい。寄らずにもうゴールへ行かせて欲しいぜ、と恨めしく思いながらも、後半戦をスタートした時に通り過ぎた大高取山分岐を抜けて、大高取山へと挑む。

最後の登りと書かれているが、これがまた長いのだ

もう、誰とも競争していない。抜きたい人もいない。ずっと先にランナーの姿は見えるし、ずっと後方にも見える。各々が、自分だけと戦っている。

運営側がこの大会で、最後に味合わせてやろうとぶつけてきた、全く優しさのカケラもない登り。笑わずにはいられなかった。ここまで十二分に過酷だったのだが、最後にもタフな登り。
それをしっかりと受け止めて打破の後、大高取山の山頂を踏んだ。

山頂には応援の方が3人いてくれて、ランナーを一人ずつ迎え入れ、労っていた。
運営がこの大会の最後に見せたかった、絶景。好天もあって、十分に堪能出来た。
応援の方にのせられて、切り株の上に立ってパチリ。

viva, viva !

あとは下り。残す必要ももうないぜと思うと、意外と走れるもんだ。
痛みを受け入れながら駆け下り続け、すでに気温が上がり始めているロードも走り続けた。
途中、前の人に追いついてしまって、とはいえ抜かすのも忍びないので、その方達と喋りながら後方を陣取り、その順番でゴール。

26時間13分だった。また一つ自分の弱さを知り、少し強くなれたレースだった。

振り返ってみて

まず生きて帰ってこられたことに何よりも感謝したい。遭難や死は、レース運営側にも家族にも迷惑を掛けすぎて辛い。

100mileを思えば、50km, 70km, 100km どれも通過点に過ぎない。
今回は、100mileシミュレーションとしては甚だお粗末。
一年後には、100km走ってまだまだ余力があるレベルに達していなければならない。あらためて自身の身の程を知り、課題を認識できた。

今回最大の発見は、一度もリタイアしたいと思わなかった、その精神力。
これまでのトレイルレースでは、実は毎回思っていた笑。
昨年のハセツネでは第一エイドで。きつい上にやや水不足だったので、ここでやめようかなと弱気が頭をよぎった。
三河パワートレイルでも、どのエイドならリタイア可能か気に掛けていた。リタイアしたいからといって、どこででもレースを止められるものではないので。
ただ今回は、タフな局面が続きながらも、不思議とリタイアが頭をよぎらなかった。

そういう心理だった理由は自分でもいまいち分からないのだが、おそらく完走への執着心に他ならないと思う。
UTMFに出たい・完走したいという思いが、これまで以上に determinaton / 断固たる決意を引き出していた。
それさえあれば、そしてこの彩の国100kmをクリア出来たのであれば、また今後もタフなレースに、挑んで勝てるかもなと思う。

Garminトラブルに振り回されてレースに集中出来なかったのは、つくづく情けなかった。 文明の利器に頼りすぎて走っている。
そしてこういった事態の予測とリカバリープランが抜けていたし、クイックな見切り決断ができなかったのも未熟。

試走の有無は明暗を分けると改めて認識した。振り返れば後半、恐怖の飯能アルプスを一度でも走っていたら、気の持ちようは違っただろう。

最後に、本大会の運営、ボランティアの皆様、素晴らしい場を大会のためにお貸し頂いた、地元自治体や山林所有者の方々、
沢山の事前情報を与えてくれたブロガーの方々、
共にレースへ参加し、当日声を掛け合えたもぐさん、Atuさん、コーイチさん、
Twitterを介して、気に掛けたり、応援してくれた皆様、
そして何より、エスカレートしてゆく父のアドベンチャーを、いつも許しながら見守ってくれている家族に、心から感謝したい。

一人で走るシーンは多かったけど、ひとりぼっちでは、走っていませんでした。